Study Abroad
Intensive English (1975.9 - 1976.8) ..3

■高校を卒業して直ぐの話■
留学の話を進める前に、私がどのような仕事をしていたのか、学歴はどうなのかをお知らせしておきます。 よく様々な人に”どうして留学しようと思ったの”と聞かれます。それは、簡単に一口で答えられません。 その答えの前に私の経歴をお知らせしておきましょう。

私は、昭和44年(1969)3月に鹿児島実業高等学校の土木科を卒業しました。このころの日本は、高度成長で湧いていて 日本列島改造とか騒いでいた時代です。ということは、土地開拓が有望株と考え土木科を専攻しました。私より三才以上年上の 方々には電気を専攻した人が多かったようです。私は、どうも学校の成績があまり良くなかったみたいで、 大企業や役所には入れませんでした。最近高校の同窓会が有ったのですが、”福森は頭は良くなかったよね、 それなのに博士になれたんだ”という言葉を頂きました。
ということだったのですがなんとか東京の浜松町にある東京技工株式会社に就職させて頂くことだできました。 この会社は、東京ガスの下請けで主にガス管敷設のための測量を行っていました。私は横浜支社に配属となりました。 当時は、今とは全く違う景色でした。事務所は海側にあり、横浜駅から歩いて10分位の所にありました。駅前(海側)は ただの広場になっていて遠くが見渡せました。たまにタンカーが停泊している時があり、とてつもなく大きかった ことを記憶しています。
ところで仕事ですが、毎日毎日、測量用のチェーンを引っ張るのが私の役目で、とても疲れる仕事でした。チェーンは鉄で出来て いて大変重いです。このチェーンでこれからガス管を引く道路の測量に使っていました。現場へは車で行って、 昼食後は、車でプチ仮眠をとっていました。蒲田の会社の寮に着いたら食事し銭湯へ行き眠るという毎日を 過ごしていました。蒲田と言えば、安保で一騒動あり駅や周辺の商店街が大変なことになったことが有りました。 寮に居る社員は、その日自宅待機だったと記憶しています。デモが通過した後は、竜巻が起きたのかと錯覚 するぐらいでした。

もう少し技術的な仕事をしたかったので、転職することにしました。高校に連絡をとり事情を説明すると、東京都在住のある方に 会うようにとの連絡がありました。そこで紹介されたのが、日本水工設計株式会社という会社です。前の会社を1970年1月に退社し、 紹介された会社に1970年2月付けで入社させて頂きました。この会社は上下水道設計の会社で私は、下水道設計課に配属 されました。この会社には4年勤めさせて頂きました(1974年2月退社)。以下が私がやった仕事の一部です。

時間雨量の計算
下水には雨水と汚水の2つが有ります。道路面の下には、雨水管と 汚水管が埋設されています。このころは、合流式という方法があり、雨水と汚水の両方が1つの管の中を流れていました。 つまり、大雨が降ると、汚水混じりの雨水が直接海へ放流されていたわけです。今は、殆どの市町村が分流式を 採用していると思います。この会社では様々な事を勉強させて頂きました。天気予報やニュースで良く聞くものとして1時間雨量 があります。下水道の雨水管の設計には5年確立(5年に1回の確立)の雨量を用います。日本全国でだいたいどこでも 30mm/hから50mm/hの範囲です。実際に雨水管を設計するには、5分、10分、20分、30分、40分、50分、60分、80分、100分、120分の 雨量も必要になります。私は、雨水管を設計する開発地から最も近い気象台に行き、少なくとも過去数十年の雨量 データ(雨量 vs.時間)から上の時間雨量を抜き取ります。そして各分毎の時間雨量を確立紙にプロットし5年確立の 雨量を読み取ります。読み取った雨量は、雨量 vs. 時間のグラフにプロットし強度降雨式を作ります。このグラフがその地域の雨の降り方を 特定してくれます。確立雨量の計算方法と強度降雨式の算出方法は、下水道設計の指針に書いてあります。
私は、なんとか確立紙を使わないで確立雨量を計算できないかを考えている内にFortranというプログラム言語に 出会いました。そして、様々な方法で確立雨量が計算できるプログラムを作ることができました。

面積計算
下水道の設計で最も面倒な作業が面積計算です。雨水管がどれだけの面積に降った雨を集めているかを把握するには、 土地の面積を測る必要が有ります。面積測定には地図を使います。地図の高低差情報から雨水管の管路網を作ります。 そして、雨水管が受け持つ面積を細かく分割してゆきます。分割した形状が亀の甲に似ているので”亀の甲の面積 計算にかかるぞ”とよく言います。亀の甲の数は、数千にもおよぶことが有、数人でやっても2週間位かかること もありました。面積計算には、プラニメータという道具を地図の上に置いて使います。これはグリーンの定理に基づいて発明された すばらしい道具ですが、地図の紙質や表面状態によって値が大きく変化するため効率が悪く精度に乏しい道具でした。1つの面積値を 得るのに2から3分掛かります。
そこで私が提案したのが、三角定規を2つ使ってn角形を三角形に導く方法です。例えば、6角形だと並行移動を 3回繰り返すと面積を変えずに三角形にすることができます。三角形ですから底辺×高さ÷2で面積が得られます。 これだと6角形の場合、1つの面積を30秒で求めることが出来ます。従って、プラニメータを使う場合に 比べ1/4〜1/6の時間で面積計算ができるようになりました。ちょっとしたアイデアで工数低減になるということです。 多分現在は、コンピュータに接続された装置で面積計算を精度よくそして高速に行えると思います。

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