Fluid Dynamics
Governing Equations-2

最初のページから、流体の基本方程式の疑問点が出てきて、少々不安になってしまったと思います。しかし、これらの疑問は、私が流体力学を勉強していて、どうしても納得出来ない事柄なのです。流体解析について、歴史を勉強してみて判明したことですが、Navier-Stokes 式を導いた G. G. Stokes 自身も、同じ様な疑問を持っていた事実が彼の論文にありました。しかし、彼は疑問のみを提示しただけで、この世を去ってしまいました。後に残された人々は、Stokes を信じて論文を書いたり本を出版したりしてきたことになります。

私は、貴方にその疑問を考えながら流体の有限要素法を勉強して頂きたいと思っています。そこで、その疑問ですが、分り易く言うと、彼は運動方程式の展開に使う応力の式からλdivV の項を削除したことです。彼は、λ=-(2/3)μとすることで、λdivV を運動方程式から排除(正確には(λ+(2/3)μ)divV=0)しています。この項がなくなったために、非圧縮流体の解析に、連続の式(つまりdivV=0) が必要になてきたのです。

この係数(λ)を第2粘性係数またはthe second coefficient of viscosity と言われています。ここでの流体解析では、重要なパラメーターですので、しっかりとλの特性を学んで下さい。

■疑問の解析■
弾性解析のポアソン比(ν)の役割を、もう一度復習してみましょう。ポアソン比が0.5になると、応力の式のλに該当する値が無限大になります。しかし、領域に作用している外力が有限であれば、応力は、ポアソン比が0.5に近ずいても、さほど変化しません。これは実際の計算に基く結果です。多分、実験でも同じ結果がでるでしょう。つまり、Eν/((1+ν)(1-2ν))・εkk は、ポアソン比が変化しても、ほぼ一定の値を示すことになります。結果的に、Eν/((1+ν)(1-2ν))の値が大きくなれば、εkk は、小さくなるはずである。

この議論を流体に置き換えると、εkk =0 は、非圧縮性を意味しますので、ポアソン比が0.5になれば、連続の式をカップルしなくても、非圧縮性流体の解析が可能になります。さらに、ポアソン比またはλの値を調整することにより、非圧縮性に幅を与えることが可能になります。つまり、空気の非圧縮性と水の非圧縮性に違いを与えることが出来ます。
これまでの事をまとめると、以下が推測できます。

ここでは、上の議論をベースにして、流体の有限要素法の話しを進めて行きます。つまり、『流体の応力の式にλdivVの項が有り、連続の式を非圧縮性流体の支配方程式の1つとしては扱いません』と言うことです。

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