Electromagnetics and Ham Radio
Experiment 16

■導線表面で電位(V)一定で得られた結果と関数f3の関係■

これまでに何回も触れてきましたが、BEM解析で導線表面の電位(V)を一定として得られた結果は、関数関数f3とほぼ 同じでした。 ここでもう少し話を展開してみます。
導線表面での話ですので、下図のペアー導線の表面上に話を集中して関数fiを導いてみます。 下図の記号を使うと関数fiは理論からfi=(1/π)loge(β/a)でした。
まず観測点(Observation point)が点A に位置していてDがほぼ無限大のとき、関数はf1=(1/π)loge(D/a)でした。 これはほぼβ=Dになっているからです。そして観測点が点Bにあると f7=(1/π)loge((D-a)/a)でした。これはβ=D-aになっているからです。 f7=(1/π)loge(D/a-1)とも書けます。
そこで次のような関数を考えてみました。

\begin{eqnarray} f_1=\frac{1}{\pi}{log}_e\left(\frac{D-\alpha a}{a}\right) \end{eqnarray}

観測点が点Bのとき、α=1
観測点が点Aのとき、α=0
では観測点がABの間の 点Cのときどうなるかです。1つ言えることは、1>α>0です。
導線表面で電位(V)一定で得られたBEM解析結果fBEMによく一致しているのがf3でした。 そのf3から上式のαを導くと以下のαf3になります。 またBEM解析で得られたfBEMの値(境界要素法計算結果.xlsx のBOUNDARY-Capacitanceとα検討シートを参照)を 上式のf1に代入しαについて解くと以下のαBEMになります。

\begin{eqnarray} α_{f_3}=\frac{D}{2a}-\sqrt{\left(\frac{D}{2a}\right)^2-1} \end{eqnarray} \begin{eqnarray} α_{BEM}=\frac{D}{a}-{exp}\left(πf_{BEM}\right) \end{eqnarray}

これらのαをグラフにすると以下になります。

このグラフを作成するにあたってBEM解析を再度行いました。計算条件は前と同じ導線表面の電位(V)一定(Capacitance計算の場合)です。 前回は要素数=64で行ったのですが、今回は10倍の640で行いました。 理由は、要素数が少ないとD/aが10以上で誤差が大きくなり関数f3との乖離が大きくなっていました。
原因はBEM解析において今回の場合、各節点でC(ξ)=0.5になっていなければならないからです。領域を線形要素で分割しているため難しい。 C(ξ)=0.5とは節点での2つの要素がなす内角が180度のことです。 今回は要素数を多くして対応しました。2次要素だと少ない要素数でもC(ξ)=0.5が実現できます。 時間をみて2次要素で今回の解析をトライしてみようと考えています。
いずれにせよ、上のグラフを見るとBEM解析はf3と同じであると言ってよいでしょう。 言い換えると関数f3は、導線表面の電位(V)一定の条件での厳密解といってよさそうです。 ただしこの話は測定できる電位(V)が未知数となっているキャパシタンスに限ったことです。 インダクタンスの場合、未知数は磁気ベクトルポテンシャルAzです。 Azは、磁束を導く過程で考え出された変数で測定はできません。 ですので、インダクタンスについては、もう少し考察が必要です。


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