■変分法(Calculus of Variations)■
なんとなく雰囲気はつかめても、イマイチ理解出来ないのが変分法です。ここでは、一番簡単な例を取り上げて、変分法を説明しています。このセックションを読み終わるころには、貴方も変分法の概要が理解出来る様になっていると思いますよ。
変分法では、時間、長さ、面積、エネルギー等のスカラー量を表す状態関数と言う関数が必要になってきます。変分法の解析からは、単なるスカラー量でなく、物の形状を表す関数(y(x))が得られます。その y(x) で表された形状を変えながら、状態関数 を領域積分し、積分値が極値(最大または最小)になる様に、解(y(x))を導く方法のことを変分法と言います。ちょっと、ピンと来ない人のために、代表的な問題例を下の表にまとめて有りますので、参考にして下さい。
問 題 | 目 的 | 答 え |
---|---|---|
BRACHISTOCHRONE | 球が位置Aから位置Bまで転がり落ちるのに必要な時間が、最小になる曲線を見つけ出したい。 | サイクロイド曲線 |
GEODESIC | 3次元空間の2点間の距離が最小になる曲線を求めたい。 | 直線 |
ISOPERIMETRIC | 限られた長さの糸で輪を作り、それを平面上に置き、糸の輪の内側に出来る面積を最大にする輪の形を求めたい。 | 円 |
ELASTOSTAIC | 静荷重が負荷されている構造物の変位を知りたい。 | 歪エネルギーが最小な状態 |
RESIDUAL | 微分方程式の解を知りたい。 | 残差が最小 |
上の表をよーく見ると、答えが単なる値ではありませんね。どちらかと言うと、水平思考的な考え方の問題になっていますね。上表の最後の問題は、目的と答えが逆になっていますね。変分法が発達してくると、”何を最小にすると、目的のものが得られるか”と言う風に考え方が変わってきています。
ここで紹介している学問のことを、Calculus of Variations (1697年から)と言い、Jean Bernoulli (1667-1748) が先駆者と言われています。(Bernoulliと言う名前は、よく耳にしますが、一人ではありません。)
これに対して Isaac Newton (1642-1727) が造った学問を Calculus (1665年から) と言います。Calculusでは、力のバランスから微分方程式を導き、その微分方程式を直接解く方法を学びます。
変分法では、与えられた問題の中に最大か最小にできる変数を探します。技術分野では、エネルギーがその代表例です。その変数を 状態関数 と言う関数で表します。その関数を領域積分し、積分結果が極値(最大または最小)になる解(形状)を導きます。
■Helmholtz equation の 状態関数■
これまでは、Helmholtz equation を解いてきましたね。ここでも、両端をDirichlet 境界として、下式の Helmholtz equation を解くことにします。
詳しくは、後で説明しますが、Helmholtz equation の 状態関数 は、次の様に書けます。ここで、y'=dy/dx のことです。
見た目は、エネルギーの(1/2)mv2 に、よく似ていますね。多分、Daniel Bernoulli (1700 - 1782) は、変分法からヒントを得て流体で有名なベルヌーイの定理を導いたのではないかと思います。ところで、私達が求めようとしているのは、上の状態関数の中の y(x) です。ところが、この 状態関数 だけでは、y(x)を得るのに何の役にも立ちません。では、どうすれば y(x) を得られるのでしょうか?。
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